ベティの雑記帳

つぶやき以上ブログ未満

小説が書けなかった話

 従来のスタイルで文章を書くことがひどくダサくてイタいことのように感じられて、その感じはおそらく正しいので、何か別のことをやろうと思って、小説を書くことを思い付いたのだけれども、やっぱり断念することにした。いまの僕には到底無理だと思ったからだ。

 

 どのあたりが無理かというと、女性を描くのが無理だった。せっかく自分の好きな通りに世界を構築できるのであれば、ストーリーの重要な要素を魅力的な女性キャラクターに担わせたいと思ったが、そもそも僕の理想の女性像って何だ...?と考えたときに、そこから一歩も先に進めなくなってしまった。

 

 僕がやろうとした方法が小説の書き方として正しいものかは存じ上げない。でも、近頃、ものすごいフィクションこそ現実をきちんと再構築しているな、とうっすら嫉妬することが増えてきたので、周囲の人間と自分自身を最小の分解能で観察することは、おはなしをつくるとき最初にやるべきことだと考えている。

 

 そもそも、これはずっと頭の片隅に引っかかっていることなのだけれど、幼少期にアニメやゲームをほとんど与えられなかったために、未だに僕はフィクションの楽しみをいまひとつ理解できていないのではないかと思うことがある。オタクという属性(?)が我々の世代のマジョリティとなって久しいけれども、ここで指し示されているのは飽くまでアニメやゲームのオタクなのだということを認識するたびに、何故か冬のすきま風のような疎外感を憶えてしまう。

 

 もちろん、これは単なる気にし過ぎかも知れない。時間は不可逆であり、自分の人生を対照実験にかけることはできないから、何がどのように影響したのかなんて分かる筈がない。これから先、何がどのように影響するのか、も。

 

 どうしても気になることがあるのならば、あり得たかも知れない自分の別の人生についてシミュレーションしてみればいい。実は、僕が小説を書きたいと思い立った根源的な理由は、まさにそれだった。いつかまた取り組んでみたいし、それまではダサくてイタい文章を綴っていこうと思う。