ベティの雑記帳

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星の数ほど - 野辺山の夜空

8月18日 雨⇨晴⇨?

 

涼しい場所で星を見たいと思い立って、たどり着いたのは長野県の野辺山だった。電波天文学の聖地「国立天文台 野辺山宇宙電波観測所」やJRのすべての駅のなかで最も標高が高い「JR小海線 野辺山駅」があることがどれくらい広く知られているかは分からないが、僕にとっては、小さな頃からずっとずっと来たかった場所だ。

 

昼間のうちにこれらの見学を終えたあと、いったん山梨方面に下って夕食を食べながら外が暗くなるのを待った。20時を過ぎて野辺山に戻ってきたとき、昼間はおおむね晴れて太陽光を容赦なく浴びせていた空が、完全に曇っていた。それでもしばらく空を眺めていると、ほんの一部だけ、そしてほんの数分だけ、流れる雲の間からその先を見通せることが何度かあった。

 

「星の数ほど」という言葉がある。その意味とは裏腹に、僕たちがふだん見上げる夜空の星は簡単に数え上げることができてしまう。しかし、そのとき見えた星空は、明るい星と明るい星の間に暗い星がいくつもあって、数えることはほんとうに不可能だと思った。その暗い星と暗い星の間にもきっと見えない星がたくさんあって、その構造がどこまでも続いているのだということも想像せずにはいられないような星空だった。

 

特に、空を横切る薄明るい帯が天の川だと分かったときには、言い表せない高揚があった。太陽系という街はずれから銀河系中心部の街灯やネオンサインを眺める-それが北半球から見た夏の天の川だ。

 

その一方で、ずっと空を眺めているうちに、これらの星はすべて10mか20mくらい先に張り付いているだけなのではないかと錯覚することもあった。そう、プラネタリウムのドームの中にいる感覚だ。本物の星空を前にして「プラネタリウムみたい」というのはいささか嫌な感性ではあるが、これまでドームの中でしか見なかったような星空を目の当たりにしているという裏返しの実感がそこにはあった。