台風24号が過ぎ去ったきょうの朝は、思っていたものと少し違った。
暑くて、埃っぽくて、
いつもの風景にあった木が倒れたり屋根が吹き飛んだりしていた。
市内にはいまでも停電の続いているところがあるようだ。
この国で暮らしていると繰り返し災害に遭う。
そして、考えもしなかったことが起きるたびに
僕はなにか「役に立てる人」でありたいと思う。
これは、こういう場面では誰しもが抱く感情なのかも知れないが。
僕が「technology 」に対して祈りにも似た気持ちを持っている理由のひとつが
この辺りにある。
僕は決して屈強なタイプではないし、
もし屈強だったところで台風や地震にひとりで打ち勝つことはできない。
そんな人知を超えたものに抗い、人々の暮らしを守る方法があるとすれば、
それは「technology 」しかないんじゃないか、と。
Twitterを見ていると、
台風にまつわる警報や被害の報告は減ってきて、
#IAC2018のツイートが目に留まった。
生まれて初めて日本を飛び出して、
世界に、
いや宇宙に放り込まれたような高揚感を味わった、
あれから1年経ったんだと実感する。
あのときの出来事は
正直に言うと僕の日常からはかけ離れ過ぎていて、
ひとつの非日常の出来事、不連続な思い出、儚い夢、
いつかはそんなものになってしまいそうで少し怖い。
今日は内定式の予定だった。
停電のために延期になってしまったが、
毎朝訪れては毎晩去ってゆく現実を生きていく僕は
静岡の片田舎の決して大きいとはいえない工場(こうば)で
地味で愚直なものづくりを続けていくだろう。
目の前でモノが動くということが職人の仕事であって
ガラス張りの部屋で会議をするだけなら誰でもできる
という頑ななぼくのポリシーに基づく結果ではある。
それでもあの1年前の高揚感とどこかで繋がっていることができるだろうか。
足元に地元を
視界に世界を
こころに宇宙を
なんてね。