ベティの雑記帳

つぶやき以上ブログ未満

【学会ルポ】一人旅なら

【08:45】

浜松駅に着いた。学会の会場は東京・八王子。早起きできれば在来線で行ってもいいと思っていたけれど、発表スライドがなかなか出来上がらなかったので早起きどころではなかった。僕は新幹線が大好きで、時間に余裕があるときは敢えて「ひかり」ではなく「こだま」に乗るほどなのだが、ひかりからこだまへの乗り換えもある中でスライドの修正をしていたので生きた心地はしなかった。

 

【10:45】

新幹線で新横浜まで行くのが順当だとは思うけれど、『今回の交通費は自腹』説が濃厚なので小田原で降りた。小田急に乗り換える途中、今夜泊めてもらう予定の友達へのお土産として「かまぼこ」を買う。夜は酒を呑むぞ。その後は、電車の中では黙読で発表リハーサルをし、ホームでは昼食にパンを齧った。寝不足だし疲れている筈だが、緊張で眠くはならない。どうして神奈川の女子高生のスカートは短いのか。

 

【13:00】

会場の大学は私鉄の駅から2km程の場所にあるらしく、30分歩くよりは30分後のバスを大人しく待った方が良いだろうと思い、暫しの足止めを食らった。下校中の小学生の大きな笑い声が聞こえていた。11月の昼下がり、何かゆったりとした時間が流れていた。バスの車窓からは山や畑も見えた。これが東京の郊外というものなのか。

 

僕は東京に住んだことが無いから、「東京」の正体がよく分からない。なのに、いや、だからこそ、大学生の時くらい東京で過ごしたかったと思うことが最近になってよくある。東京に住むことにどういうメリットがあるのか、神奈川や埼玉ではダメなのか、浜松の何が不満なのか、よく分からない。ただ、最近の僕は、これまで固持してきた持たざる者の美学に対して懐疑的になってきてしまったかも知れない。

 

【13:40】

会場に着くと、思ったより多くの人が詰めかけていた。僕が目当てにしていた先生の講演は丁度終わっていたが、学生のポスターセッションには間に合った。知識を全く持ち合わせていない分野のポスターにも思い切って絡んで行ったので、発表者の方を困惑させてしまった可能性もある。薬学部の人は実験の為にヒトの皮膚を培養できるらしい。MSを使っている人にその具体的な手順等を尋ねることもできた。

 

【16:00】

学生の口頭発表が始まった。今日の最後が僕の発表だ。みんな明らかにプレゼンテーションが上手い。僕がネクストバッターズサークルに居る時に発表をしていたのは女性だったが、Macを駆使して流れるように話していて圧倒された。なんてこった。

 

【17:00】

ついに僕の発表だ。冒頭で僕は渾身の「エェ~」をかました。マイクを使って話をするときにボリュームやエコーを確かめる為にやっていたことだが、今では軽い発声練習をし、呼吸を整え、何より気持ちを落ち着けるために欠かせないものになってしまった。客席の方が明るくなっていて様子がかなりよく見えたが、多くの人がこちらを注目してくれていたので嬉しかった。あっという間の12分30秒だった。

 

頂いた質問のうち1つ目については、もっと具体的な部分にまで踏み込んで答えるべきだったような気がして後悔している。特に次の日の発表を見ていると、推測レベルの事でも言っておいた方が良かったのかも知れないと思った。

 

【17:30】

今回の学会は単身で乗り込んだが、懇親会にも参加した。話す相手が居るかは不安だったが、企業の方にOBがいて気さくに話しかけてくれた。また、先生1人学生1人で参加していて、その先生は先生同士で盛り上がっている人がいたので、その学生さんとも仲良くなった。

 

途中、ポスター発表のフラッシュプレゼンテーションの表彰式があった。受賞者だけでなく、全員が写真を撮ったり協賛の企業から景品をもらったりしていて羨ましかった。口頭発表の表彰式は2日目の最後だが、そこまで参加すると予約した帰りの高速バスに間に合わない。それに、景品目当ての下心は褒められたものでは無いと思うので、寄り道をしながら神妙に帰ろう。

 

【20:30】

今夜の宿がある淵野辺に向かった。駅の発車メロディが『銀河鉄道999』で素敵の極みだった。前に来た時には気付かなかったのかな。友達と酒を呑み、かまぼこを食べつつ色々な話をした。どうにか修論を乗り切って一緒に卒業旅行に行こうと約束した。

 

【10:10】

懇親会で仲良くなった学生さんの口頭発表が2日目の朝だったので、間に合うように会場へ向かった。淵野辺駅に向かう途中JAXAのマイクロバスに擦れ違った。2日目もプレゼンテーションが上手な方ばかりだった。

 

【12:50】

東京駅まで行かなくてはならないので、会場を後にした。隣駅が多摩センターだと知ったので取り敢えず行くことにした。多摩センターには『サンリオピューロランド』がある。僕は昨夏初めて行って、その雰囲気を結構気に入った。ただ、あまりにも混んでいてゆっくり楽しむことが出来なかったので、リベンジの時が来たと思った。

 

駅で昼食を食べてからピューロランドの入口まで行った。平日の午後なので割安で入場することができたのだが、滞在できるのが1時間程度だと分かり、そのためにいざ2000円払えるかとなると、僕のキティちゃん愛は惜しくもそこまでは届かなかった。2時間遊べるなら間違いなく入っていた。

 

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ディズニーならば入園しなくてもお土産が買える場所があるが、ピューロランドにはそれがないようなので、駅の売店でキティちゃんのクッキーを買って、研究室へのお土産とした。

 

【15:50】

新宿まで来たときに、『旧万世橋駅』の事を思い出した。最後はそこで時間を潰そう。中央線の古びた高架下には洒落たお店が十数店舗ある。その中で僕が一番気になったのは、これ『Audio Heart VRS-1』である。

 

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座ってみると窮屈な感じはなく、横から上から後ろから音がする。音を出した状態で外に出てみるとさっきの迫力はどこへやらという感じで、これなら確かにアパートでも使えそうだ。ただ、普通にテレビや映画を観るときに音は画面の方(前方)からくるものという先入観があるので、前からくる音量が少なくて一寸した違和感になるかも知れないと思った。

 

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鉄道と言えばチェックシャツ、ウエストポーチとでかいカメラの人達の趣味というイメージがどの程度払拭されているのかは分からないが、僕は昔から鉄道とそれ以外の『カッコいい』や『カワイイ』が相容れない訳が無いと思っていた。なので、万世橋駅のこういった生かされ方は、何というか、嬉しい。僕は高校時代に鉄道研究部にも所属していたことを事ある毎に言っていきたいし、鉄道が『カッコいい』あるいは『カワイイ』ものとして認められていくことに貢献できたらと思う。

 

【17:30】

それからは、懐かしの『万かつサンド』を買い、秋葉原から電車に乗り、八重洲口を出て高速バスに乗り込んだ。春に高速バスで東京に行ったときは、喉を痛めて暫く苦しんだ。すぐにマスクをしようと思ったが身体が動かず、50分程経ってから目が覚めて、慌ててマスクをした。今のところ喉は無事だ。

 

一人旅なら興味のベクトルのままに動くことができる。